食堂なまえ|古き良き昭和の味! 手打ち麺を使った喜多方ラーメン @喜多方市[福島県]

最終更新日

古き良き昭和の醤油ラーメン
極太手打ちチャーシューメン・大盛

これぞ昭和のラーメンというような、ラーメンのステレオタイプを見る感じの一杯が着丼。

 

質感が素晴らしい手打ち麺
極太麺

手打ちの極太麺は、表面が滑らかでプリッとした食感の喜多方らしい多加水麺である。手打ちなので、製麺機で作った麺では表れにくい質感が備わっている感じがして、ある種の本物志向の雰囲気をまとっている。さらに粘るようなもっちり感も多少ある。これらの特徴は必ずしも旨さに結実していないとはいえ、なかなか面白みがある。

 

昔ながらのあっさり醤油スープ
醤油スープ

あっさりした味の醤油スープは、やや単調である印象が残るものの、良くも悪くもない無難な味わいと言えよう。ちょうど現在、幸楽苑で期間限定で中華そばクラシック(Classic)と銘打つ醤油ラーメンが発売されているが、そのスープと似ているような気がする。これは、2018年3月期の連結決算で32億円の赤字に陥った幸楽苑が、社運を賭けて看板メニューの中華そばのスープを改良する以前の、中華そばのスープである。

 

昔ながらの何の変哲もないチャーシュー
チャーシュー

チャーシューは昔ながらのありふれた作りで、淡白な味である。なんとなくパッとしない感じではあるが、特段けなすべきところはないだろう。

 

総括
店頭の掲示物

今回は食べログで現在福島県で3位のラーメン店を訪れたのだが、案の定、喜多方の御多分に洩れない田舎風の素朴なラーメンに相対することとなった。実は喜多方には喜多方老麺会という団体があって、多くの店が加盟しているが、“老麺”というのは奇しくも当を得た名称であるように思われる。喜多方ラーメンのブランド力に守られて、その枠組みの内で進歩を忘れたかのように旧態依然としているラーメンは、まさに“老麺”である。時代遅れの老いたラーメンだ。しかしだからといって、そのことをネガティブに捉えるのは間違いだろう。激しい競争に揉まれ、進化して旨さを極めていくラーメンもある一方で、喜多方のような伝統を守り伝えていくラーメンもあるのが、ラーメン文化というものだ。それぞれが独自の魅力を持って、全体として多様性のあるラーメン文化を形成している。では、今回食堂なまえで味わったラーメンの魅力とは何なのだろう。それは、ホッとするような安心感、あるいは和みであると思う。厳しい競争にさらされながら、味の粋を極めるに至ったようなラーメンには、やはり客に対し気負うところがあって、それが微妙にある種の刺々しさとなって立ち現れてくる一面もあるのではないだろうか。しかし今回のようなさり気ない作りのラーメンからは、気負いどころか、むしろ和みに繋がるようなレトロな凡庸さが伝わってくる。ミシュランガイドに掲載されるような店のラーメンもいいが、このようなラーメンで郷愁に浸りつつ和まされるのも、またラーメンの楽しみ方の一つであろう。

 

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