TRYラーメン大賞・フェスティバル|昨秋のTRY20周年記念イベントを振り返る @小田急百貨店 新宿店[東京都新宿区]

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らぁ麺 飯田商店
らぁ麺 飯田商店

4杯目は、らぁ麺 飯田商店特製チャーシュー麺 ¥1,350。これもこのイベント限定のメニューということであったが、なぜ単なるチャーシュー麺が今回限定なのかと、一抹の疑問が残った。

 

神奈川県足柄下郡湯河原町にあるらぁ麺 飯田商店は、昨秋にTRY大賞3連覇を達成した実力派の超人気店である。これでいよいよTRY殿堂入りに王手をかけ、ラーメン界の頂点に立つ中華蕎麦 とみ田にも比肩しうるところまで上り詰めた観がある。そういう凄い店だが、湯河原町は伊豆半島の付け根に位置し、いわば関東の西端で、関東の東端辺りに在住する私にはなかなか訪れにくい。そんな折、昨年5月末頃に所用で小田原市まで行く機会があり、当然ながら湯河原町まで足を伸ばそうと思ったわけだが、なんとちょうどその時はらぁ麺 飯田商店はメニュー改良のために長期休業中だったのだ。それで当サイトの立ち上げの第1回目の記事をらぁ麺 飯田商店にする目算が外れ、藤沢市の麺や 渦雷になった次第である。ともあれ今回、このイベントでようやくその改良後のラーメンを味わうことができた。尚、写真は2018年5月18日に訪れたときのもの。そのときの店名はらぁ麺屋 飯田商店だったが、現在はらぁ麺 飯田商店に変更されている。

 

大行列

2019年11月2日(土)、小田急百貨店 新宿店の開店前の午前9時半頃に到着すると、入口付近にらぁ麺 飯田商店の行列がすでにできていたが、思ったほど大人数ではなかった。ところが安心したのも束の間、係の者が来て、開店前の先行入場の誘導をするのだと言う。自分たちは4回目の先行入場ということだった。一旦、11階のイベント会場まで上がった後、半端ない大行列を横目に階段を下り、並んだ場所はちょうど7階だった。4回の先行入場で200人以上の行列となった模様で、しかもさらに5回目の先行入場の人々も来た。

 

特製チャーシュー麺

百貨店の開店前から行列に並び、2時間半が経って、すでに正午。ようやくにして待望の一杯とご対面。これでもかと言わんばかりに華やかにチャーシューの花が咲いたラーメンであった。尚、海苔の見栄えが良くないのは、ラーメンを受け取って席まで運ぶ途中で、内側に倒れて脂まみれになったためである。

 

細麺

程良い茹で加減で、優しげな柔軟性に富む細麺は、スープのあっさりしたおとなしい味わいと絶妙な調和を成しつつ、しなやかに流麗にそして優雅に踊るような食感が圧巻。あまりにもパーフェクトな完成度に度肝を抜かれることになった。1年半前に湯河原で味わったときの麺は、若干伸びたような食感で、いささか拍子抜けさせられ、少々名前負けしているような印象が無きにしもあらずであったが、いかばかりの研鑽を積んだのか、今回はまさしく名人芸の域に達した麺を披露してくれた。

 

チャーシュー

薄くて柔らかい豚チャーシューは、淡白な味わいでありながらも、ジューシーでふくよかな旨味を内に鏤め、尚且つスープの極めて上品な旨味を薄さを活かして搦め捕り、芸術的ともいうべき至高の旨さを構築していた。上質の肉の香りが追い込んでくるような凄みにも感服させられた。

 

穏やかでとても品のいい味わいの清湯の醤油スープは、あっさりした体裁の裏側のパワーが恐ろしい。背後に尋常でない旨味が控えている様相であった。これが麺とチャーシューと共に計算し尽くされたトライアングルのバランスを形成し、麺およびチャーシューに存分に力を与えている様態であった。

 

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