ビブグルマン巡り|東京2020・ラーメン #5:コスパ良好! 6年連続ビブグルマンの、RAMEN GOTTSU @練馬[東京都練馬区]

最終更新日

GOTTSUらーめん
GOTTSUらーめん

980円と、1,000円を下回る価格ながら、鶏チャーシュー・大判の豚チャーシュー・味玉などが載り、味変用の辛肉玉も付属し、しかもミシュランが太鼓判を捺すという、とてもコスパに優れていそうなラーメンが着丼。

 

辛肉玉が要の濃厚魚介豚骨スープ
濃厚魚介豚骨スープ

濃厚魚介豚骨スープは鳥獣系・魚介系双方の豊かな旨味が折り重なって、重厚感のある濃密な味わいを形成し、そこに若干の苦味を含む煮干しの風味がアクセントとして機能するという構成。ビブグルマンらしいなかなか乙な仕上がりとなっている。しかし、このままでは追い込みの弱さというか、伸びの悪さというか、そういうキレの手緩さがある。そこで味変用の辛肉玉が効果を発揮するわけなのだ。これを溶かし込むことで、味わいにいいキレが生まれ、味覚にガツンと来るスープへと変貌する。どうやら辛肉玉の最大の存在意義は味変にあるのではなく、弱点の補強にあるようだ。

 

さほど特徴が目立たない麺
概してオーソドックスな細麺

程良い硬さの細麺は、若干パツパツ感が表れている。また弾力性もやや良好で、そこから副次的なもっちり感も幾分生じているのだが、際立つような特徴はなく、大雑把に分類するならオーソドックスな麺である。スープとのバランスは悪くはないが、良いともやや言いにくい感じ。

 

淡麗系によく合いそうなチャーシュー
上質なチャーシュー

チャーシューは豚と鶏の2種類。鶏チャーシューは極めて柔らかく、豚チャーシューもかなり柔らかい。共に淡白な味わいで、非常に上質感が漂う。こういうチャーシューは素材本来の旨味を活かせる淡麗系のスープに合わせると、最大の効果を発揮しそうであるが、このラーメンみたいな濃いスープに合わせると、チャーシューの旨味がスープの奥に埋没して活きてこなくなりそうだ。それでも元々の出来が素晴らしいチャーシューだから、このスープで味わっても結構旨いのだが、例えばプロ野球で、右の変則派先発投手に対して敢えて右打者主体の打線を組むとか、左のワンポイント投手に対して敢えて左の代打を起用するとかと同様に、セオリーから外れている印象を受けるのを、私は禁じえなかった。

 

総括
店舗の看板

今回は、6年連続ビブグルマンの名店で、麺もスープも具も個々に見れば秀逸で、かつ具がわりと多く載ったラーメンを、1,000円を割るお得な代金で味わうことができた。ということで、私はきっと満足すべきなのかもしれない。しかし私は思うのだ。コストパフォーマンスなんて、味わえないじゃないかと。只々激旨ラーメンを味わいたくて、近所のチェーン店ではなく6年連続ビブグルマンの店を訪れた者に、このラーメンのどこに味わい所があると言うのだろうかと。確かにこのラーメンのスープは瞠目できるくらい高いレベルには達している。しかし例えば中華蕎麦 とみ田六厘舎であの濃厚な激旨つけダレを味わい、最後にスープ割りで〆るのと、RAMEN GOTTSUでこの秀逸な濃厚スープを味わい、途中で辛肉玉で味変するのとでは、旨さの程度に自ずから歴然たる差がある。再びプロ野球で例えさせてもらえば、いい選手が揃っているがエースとスラッガーが不在のチームがRAMEN GOTTSUで、大エースと不動の4番がいるチームが中華蕎麦 とみ田六厘舎ということになるだろう。どちらのチームの試合が面白いかが自明であるのと同じく、どちらの店が旨いかも自明の理である。

尚、以上の所感は超一流店を基準にした場合のもので、一般的なレベルのラーメン店を基準にすれば、RAMEN GOTTSUのラーメンは極めて優れていると、誤解を避けるために付け加えておく。

 

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