ご当地ラーメン探訪|アリランラーメン #2:アリランラーメン発祥の店、八平の食堂[千葉県長生郡長柄町]

最終更新日

アリランチャーシュー・大盛り
アリランチャーシュー・大盛り

見た目が竹岡式ラーメンと似たラーメンが着丼。けれども、このアリランラーメンは、決して竹岡式ラーメンの派生型とか亜流とかではなく、れっきとした独立したご当地ラーメンだと認識されている。

 

昔風の醤油スープ
醤油スープ

微妙にピリ辛の醤油スープは、ニンニク・玉葱の旨味をたっぷりと含み、ラー油も多少効かせた厚みのある多層構造の味わいが、昔からの自慢。ところで私はつい一昨日まで函館ラーメンを集中的に食べ歩いたばかりなので、醤油と塩の違いはあれど、敢えて両者のスープのレベルを比べさせてもらうなら、龍鳳一文字といった函館ラーメンのトップクラスと互角くらいのレベルであろう。ゆえに田舎風の素朴な雰囲気を醸すノスタルジックな旧式スープで、なかなか旨いのだと、締め括って構わないのかもしれない。ところが、である。函館だと、札幌に出るだけでも250km以上の距離があるが、八平の食堂の場合は、東京からわずか60〜70kmしか離れていない。例えば茂原街道を通って千葉市に出て京葉道路に乗れば、容易に東京に行ける。ならば八平の食堂のラーメンは東京基準で評すべきではないのかという、いささか馬鹿げてさえいるが、さりとて否定できない問題に直面するわけである。普通なら、それでも田舎の昔風ラーメンに東京の基準を持ち込むようなことは、ほとんど無意味なので避けるべきだろう。しかし今回の場合は事情が特殊で、八平の食堂はその辺の田舎の店とは訳が違う。苟も千葉三大ラーメンの1つの元祖なのだ。千葉のラーメン界においては明らかに重鎮であり、全国的に見ても、重鎮に近い伝統と由緒を備えた名店であろう。そういうポジションの店だからこそ、心苦しいが敢えて言わせてもらうなら、八平の食堂のスープはJapanese Soba Noodles 蔦などの超一流店のスープと比べると、潜在するパワーが致命的なほど劣っている。そのため超一流店のようなスープの後味に残る余韻がほとんどなく、言うなれば尻切れとんぼな味わいとなっている。

 

スープを吸わせた感じの麺
中太麺

程良い硬さの中太麺は少しスープを吸わせてあるように見える。それゆえか、シコシコ感がよく表れていて、なかなか粋な感じである。そうではあるのだが、粋というだけに留まり、そのシコシコ感は必ずしも十分には旨さに転化できない感じだ。

 

昔ながらのチャーシュー
チャーシュー

チャーシューは昔ながらのありふれた普通っぽい作りだが、柔らかさがやや良好で、普通っぽいなりにそこそこ旨い。

 

総括
店舗の看板

今回は、千葉県の三大ラーメンの1つに数えられることもあるアリランラーメンを発祥店の八平の食堂で味わったのだが、そのラーメンはそれなりには良好な出来で、田舎レベルなら満足すべき完成度であると思えた。しかしながら、わずか60kmかそこらしか離れていない東京では、数多くのラーメン店が激しい競争を繰り広げ、結果的にラーメンは日進月歩で進化している。それを気にも留めないかのごとく旧態依然としているアリランラーメンを見て、なんとなく寂しい気分になるのは私だけだろうか。

 

1 2

シェアする