北海道ラーメン紀行 #6|さっぽろ純連 札幌店:札幌ラーメンの主流派『純すみ系』の原点を成す名店[札幌市豊平区]

最終更新日

みそ大盛チャーシュー
みそ大盛チャーシュー

例によってスープの表面をラードの層が覆って、ギトギト感がみなぎっているのに、不思議と食欲中枢が刺激されるラーメンが着丼。

 

当たりの弱さが意識されるスープ
味噌スープ

味噌スープは濃密なので、味に結構厚みがあって、イメージ的にはガツンと来そうな感じ。にもかかわらず全然ガツンとは来ない。また僅かな量ではあるが、すみれより明白に妙な苦味を含む。ゆえにどこか自重したような、あるいは抑圧されたような当たりの弱い味わいに仕上がっていて、加えて素直でない苦味が効いているので、なんとなくへそ曲がりな雰囲気が漂う。もちろんそれなりに味わい深さが感じられるのだが、それでもこれでは決して万人受けはせず、好き嫌いが分かれて、通の人にしか好まれないと思われる。

 

もっちり感がやや良好な細麺
縮れ細麺

麺は札幌ではお馴染みの黄色がかった縮れ細麺。適度な茹で加減で、もっちり感がややいい具合に表れていて、まあまあイケてる感じである。

 

脂っこさが相当なチャーシュー
チャーシュー

チャーシューはややほぐれるような食感で結構柔らかい。味は淡白。ただしラードがべっとりと絡み、脂身と相俟って、脂っこさは相当のもの。

 

総括

今回は、純すみ系の始祖に当たるさっぽろ純連で、札幌ラーメンの中の札幌ラーメンとでもいうような典型的な札幌ラーメンを味わったわけだが、結局のところ食べ終えた後には、モヤモヤとした疑念が残ることになった。すなわち、なぜ素直に旨さを追求せずに、妙にひねくれたような味わいに仕上げているのかと。だが世の中には幼児の落書きみたいな抽象絵画とか、読んでも意味不明の難解な哲学書とかに高い価値が認められているような事情もあり、このラーメンもまた、抽象絵画や哲学書ほど極端でないにしても、そういう高尚な趣向を必要以上に取り入れている可能性も考えられる。しかしここで改めて再認識したいのは、ラーメンは昔も今も大衆料理だということ。ラーメンは我々の大衆文化の中で誕生し、大衆文化の中で育ち、世界に誇れるような立派な日本料理へと進歩したのだ。そして一目瞭然であるが、例えば宮廷料理の流れを汲むフランス料理や、近世上流階級の茶の文化から誕生した懐石料理などとは根本から異なり、本来的に高尚さとは迎合しにくい。なので、さっぽろ純連のラーメンに対しては、私は次のように問いかけたい。「なに気取ってるんだい」と。

 

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