ビブグルマン巡り|東京2020・ラーメン #11:恐るべき出汁のパワー! 中華蕎麦にし乃 @本郷[東京都文京区]

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チャーシュー中華そば
チャーシュー中華そば

中央に鳴門巻きが鎮座し、なんとなく茶目っ気が感じられる一杯が着丼。

 

多彩でパワフルな出汁が決め手
白醤油スープ

白醤油を使用しているため淡い色合いの醤油スープは、ミシュランガイドによると、煮干しの出汁に豚骨・鶏ガラの出汁とアサリの出汁を加えて作るそう。その説明を文字通りに受け取れば、トリプルスープということになる。実際にそうなのかはさて置いても、出汁は確かに多彩な旨味が厚く積み重なった様態で、スープの内奥が強いパワーを秘めているようだ。そこから伝播してくる旨味は、まるで奥底から力強く押し出してくるような感覚を伴い、圧巻の激旨である。

 

技巧的なイメージの麺
細麺

適度な茹で加減の細麺は、麺の縁の角張りがはっきりしていて、エッジの効いた仕様。シコシコ感がとてもいい具合で、柔軟性もなかなか良好である。技巧的なイメージをしっかりと打ち出した、粋な風情の麺だ。

 

上品で柔らかいチャーシュー
チャーシュー

チャーシューは上質感がよく表れ、低温調理による程良い柔らかさもまあまあいい感じだが、超一流店レベルで見れば、及第点ラインといったところだろう。

 

お得感が抜群の替え玉
味付き替え玉

味付き替え玉は簡易なまぜそばといった風な作りで、麺には味が付き、ちょっとした具材も載っている。この麺はやや硬めの茹で加減で、若干パツパツした食感だが、なかなか乙な感じがして結構旨い。こういう替え玉は茨城県つくば市にある煮干しラーメンの名店煮干中華ソバ イチカワが始めたとする説が有力。イチカワの場合は魚粉を練り込んだ自家製の物凄い麺があるから、提供する必然性があるけれど、この店の場合はこういう替え玉を提供する必然性はない。しかし客の立場から考えれば、250円で超一流店のまぜそばを味わえるのなら、かなりお得である。

 

総括
店名を表示したプレート

今回は、2年連続ビブグルマンの名店中華蕎麦にし乃で看板メニューの白醤油ラーメンを味わったのだが、味はビブグルマンの名に恥じない激旨で、まさしく文句なし。でも一点、個人的に引っかかることがあって、それは多店舗化の仕方だ。1号店のらぁめん小池からオープン前の4号店金龍まで全部東京23区内にあり、将来的にはミシュランガイド東京に4軒とも掲載されようという魂胆なのかもしれないが、そんなことをされたら、ますます東京都心・横浜と郊外とのラーメン格差が広がる一方だ。特に東京と埼玉との格差が。この夏、ミシュランガイド東京で4年連続ビブグルマンらぁ麺 すぎ本が、埼玉県民の通勤路線の西武沿線からちゃっかり横浜なんかに移転してしまったが、元埼玉県民として、「こんな風にして埼玉はラーメン文化の発展から取り残されていくのだなあ」と、しみじみと感じ入る今日この頃。

 

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