ビブグルマン巡り|東京2020・ラーメン #12:格付けはビブグルマンでも、人気は1つ星級! Homemade Ramen 麦苗 @大森[東京都品川区]

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上 醤油
上 醤油

多種類の具材が彩りを添え、華やかにして優雅に私に対峙する。そんな一杯が着丼。

 

まるで淡麗系スープのお手本
醤油スープ

スープはあっさり味。表面上の穏やかな体裁と、その裏側に控える奥深い旨味が織り成す格調高い味わいには、心底感服させられる。あっさり系スープのツボである微妙な強弱の加減を見事に制御し、淡麗系スープのお手本ともいうべきパーフェクトな仕上がりとなっている。

 

麺は穏やかな自然体の雰囲気
中細麺

適度な茹で加減の自家製中細麺は、表面の感触が滑らかで多加水っぽい感じ。柔軟性ともっちり感がやや秀でているが、突出した特徴はなく、概して穏やかな自然体の作りである。スープのイメージとも合致したなかなか秀逸な出来だ。

 

彩り豊かな具材が主役!?
彩り豊かな具材

具材は一見して多種多様さが目を引き、ワンタンおよび4種類のチャーシューが載る。いずれも上質感がいい感じに表れ、ほどほどに柔らかくて、味は淡白。スープとの相性もバッチリで、素晴らしい出来栄えだ。アピール度を敢えてセーブしている麺やスープに対して、具材全体のアピール度が明らかに優越している感じなので、このラーメンはこの彩り豊かな具材を主役に据えた構成であると見なせる。ちなみに、ラーメンなのだから麺かスープを中心とする構成をとるべきとの考え方もあると思うが、それはラーメンの潜在的な可能性を阻害してしまう偏狭な固定観念にすぎないだろう。

 

総括
店頭の掲示物

今回は、超人気店のHomemade Ramen 麦苗で看板メニューの醤油ラーメンを味わって、当たり前のように完成度の高い激旨だったのだが、当たり前のことは置いといて、実は1つとても印象に残ったことがあった。すなわち、ラーメンがかなり女性目線で作られているのだ。料理以外でも小綺麗なカウンターや割り箸に付いた帯に女性的な配慮が見え隠れしていて、かき氷屋まで経営している遣り手の女将の考え方が相当反映されている様子。らぁ麺 飯田商店などもそうだが、女性的な感性を取り入れた店は、男性的な感性に嵌まり込んでいる例えば二郎とか家系なんかと比べると、メディア受けが良くて、人気も高くなる傾向にあるようにも見え、決して批判されるべきことではないし、私も批判など一切述べるつもりはない。ただ、やはり男性的な感性からすると、ちょっとズレた感じがしないでもない。連食するとき以外は基本的に大盛りという私のような男性にとっては、大盛りの設定がないのも然ることながら、それ以上にあの少量ずつ色々味わうという発想のチャーシューが、ちまちましていて、せせこましい気がしてならなかった。質より量という男性的価値観を自分も持ち合わせていることに改めて気付かされたりもしたわけだが、文句や批判ではなく、あくまで感想を正直に述べるなら、どこか決め技を欠いたような、あるいは肝心なところで肩透かしを食ったような、微妙な不完全燃焼感を覚えたことを告白しなければならない。もちろんこれは取るに足りない私の個人的な感想であって、一般論としてはHomemade Ramen 麦苗の醤油ラーメンは非常に素晴らしい完成度であると、誤解を避けるために再度明言しておく。

 

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