北海道ラーメン紀行 #9｜麺処 白樺山荘 真駒内本店：横浜にも進出している純すみ系インスパイアの有名店［札幌市南区］

味噌ラーメン(チャーシューメン・大盛り)

キクラゲが載っていること以外は、何の変哲もない札幌風の味噌ラーメンが着丼。

　

スープには純すみ系を彷彿とさせる妙な苦味

味噌スープは純すみ系を意識した感じの妙な苦味が微かに効いていて、「そんなつまらないことまで真似るんかい」と、思わずツッコミたくなったのだが、味的には純すみ系風の味わいにスープ中に分散しているミンチの効果が加わって、それなりには旨い。なので別段悪いスープではないのだが、なんとなく作り込みが中途半端な雰囲気が漂うように感じられ、常日頃ラーメンを食すことの多い自分のようなタイプの人間の心の琴線には、このスープでは響かないのではないかと思えた。

　

麺はもっちり感がそこそこ良好

麺は札幌ラーメンの定番、黄色い縮れ卵麺を使用している。適度な茹で加減で、もっちり感がそこそこいい感じに表れていて、わりと良好な出来の中細麺である。

　

かなり柔らかいチャーシュー

チャーシューは2種類載っているが、食感は似通っていて、共にかなり柔らかい。作り自体はよくある感じで平凡だけれど、食感がいいので、まあまあ旨い。

　

茹で玉子が無料

この店では茹で玉子が無料サービス。尤も、味玉ではなく茹で玉子なので、蛇足あるいは無用な感じのサービスかもしれない。もう少し客目線にもなってもらいたいという気がしないでもない。ちなみに、メニューを見る限りでは、この店は味玉を提供していない模様。

　

総括

今回は、札幌ラーメンの有名店の一角を占める麺処 白樺山荘の味噌ラーメンを味わってみたのだが、第一印象は「観光客仕様だな」ということだった。もちろん、『ラーメン横丁』や『札幌ら〜めん共和国』にやって来る一見さんの観光客を主たる客層にして商売をしているのだから、ラーメンが観光客向けの仕様になるのは当然といえば当然。でもやはり、札幌で敢えて醤油ラーメンとか魚介豚骨ラーメンとかで勝負している店の、まるで「お前をリピーターにしてやるからな」と言っているかのような覇気のこもったラーメンと比べると、麺処 白樺山荘のラーメンはなんとなく気持ちがこもっていない気がして、ちょっと寂しい気分になった。日本の伝統文化の茶道には、一期一会を大事にしなくていけないという教えがある。この一度っきりで、次はないからこそ、最高の茶を立てねばならないというわけだ。こういう素晴らしい茶の心は、茶道に限らず、我々日本人の大切にしていくべき美徳だと、私には思える。