東京駅一番街15周年記念 特別メニュー #3|香川 さぬき麺業:しっぽくうどん @にっぽん、グルメ街道[東京都千代田区]

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しっぽくうどん
しっぽくうどん

東京駅一番街15周年を祝う特別メニューのはずなのに、妙に特別感が薄くて、逆に普通感がみなぎっている様相のうどんが着丼。

 

普通の関西風うどんつゆ
うどんつゆ

うどんつゆは醤油より出汁が優越した関西風のあっさり味。何の変哲もない至極平凡な、関西ならどこにでもありそうな陳腐な味わいで、我々関西人にとっては、まさしく“いつものやつ”という感じだ。

 

只の煮物が載る
具材

しっぽくうどんの“しっぽく”は漢字表記では卓袱であり、しっぽくうどんは卓袱料理の影響を受けて江戸時代に誕生したそうだ。しかし、うどんに煮物を載せてあるだけなので、名称を除けば、実質的に卓袱料理とはほぼ無縁である。このうどんのタネは、やや薄味の只の煮物以外の何物でもなく、昔ながらの家庭料理から僅かも進歩できていない日常食の次元。あまりにも普通すぎてスタンダードなので、もはや旨いも不味いもない。

 

特徴の目立たないうどん
太いうどん

香川中讃地域の長田 in 香の香、大阪の楽々白庵、東京の丸香といった超一流店でうどんを食べると、つゆと具材はともあれ、うどんの食感は特徴が目立ち、アピールポイントがはっきりしている。うどんは一般的にラーメンみたいにスープや具材でアピールする手法が取りづらく、麺こそが勝負所だからだと思われるが、香川 さぬき麺業の太いうどんの場合は、食感に目立った特徴がない。ゆえに率直に言えば、不味いわけではないが、ちっとも旨くないうどんである。

 

総括
店舗の看板

大阪府南部の国道26号沿いにいつの間にかできていた、その新しいうどん店を私が訪れたのは、2000年代の初頭のことだった。うどんに醤油をかけて食べるとか、セルフスタイルであるとか、関西ではありえないような珍奇なうどん店で、しかも味もイマイチ。案の定、店内はガラガラ。これでは長くは保たないだろうと思えた。その店とは丸亀製麺。兵庫県の焼き鳥チェーン店が新たに始めたばかりのうどん店であった。製麺会社みたいなズッコケた店名を付けていることからしても、駄目だと思えた。それが今やどうだろう。いいコシを打ち出したうどんを最大の武器に、全国47都道府県を網羅するのみならず、海外へも進出しているうどん業界随一のガリバーとなっているではないか。たったの20年でここまで変われるのだ。それを思うと、うどん県で90年以上も続く老舗のうどんが「こんなもんかよ」と、さぬき麺業のうどんを鼻で笑ってしまいそうになる。もちろん価格競争力では巨大チェーン店の丸亀製麺に勝つのは不可能だろう。しかしうどんの旨さでも負けっ放しでいいのか。兵庫県の会社なのに讃岐うどんを自称するチェーン店に、本場讃岐のうどん屋の心意気を見せてやれ! 東京駅前に六厘舎のように大行列を連ねてやれ! さぬき麺業よ。

 

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