ビブグルマン巡り|東京2020・ラーメン #15:営業時間が激短! 環七の名店、中華蕎麦 蘭鋳 @方南町[東京都杉並区]

最終更新日

味玉そば・大盛り
味玉そば・大盛り

器の半分ほどを覆う瑞々しいレアチャーシューが食欲をそそる。そんな一杯が着丼。

 

ややニボラー仕様のスープ
煮干しスープ

煮干し醤油スープは、味が強めで、苦味もそれなりに強めに表れている。全般的に輪郭のはっきりした線の太い味わいで、わりとイケてる風情ではあるが、一方でまた苦味によって癖が強い感じにもなっている。ゆえにややニボラー仕様と見なせる様態で、好き嫌いが分かれそうだ。こういうニッチ系のラーメンを一般向けの評価でビブグルマンとするのはどうなのかなと、思えなくもない。ニボラー向けの評価だというなら、とても合点が行くのだが。

 

しっとりとした低加水麺
細麺

適度な茹で加減の細麺は、しっとりとしたもっちり感がなかなかいい感じの低加水麺で、麺自体は結構良好な出来である。しかし、スープとの相性に一抹の違和感を覚えた。

 

薫香をまとったチャーシュー
チャーシュー

チャーシューは歯応えは普通で、淡白な味。燻製にしてあるのか、絶妙にいい香りをまとっている。とても旨い反面、食感がイマイチな部分が混入していたりもした。

 

総括
店舗の看板

今回は、2年連続ビブグルマンの名店中華蕎麦 蘭鋳で、唯一無二のメニューである煮干しラーメンを味わったのだが、予想外にもニボラー仕様を志向するかのような一杯であった。そのスープは強めの味わいの中にビシッとそれなりに苦味を効かせた、ニボラー御用達ともいえる豪快な仕上がりで、これはこれでなかなかの逸品。ところがそこに合わせるのは、しっとりとした優しげな麺なのだ。こういう柔と剛のアンバランス、あるいは二律背反の趣向は、確かに時として大胆な斬新さをもたらす場合が、特に芸術分野においてはあるだろう。だが、ことラーメンにおいては、こういう趣向はどうやら上手く行かないことは、中華蕎麦 蘭鋳ほどの実力をもってしても調和の乱れの顕在化を制御できないことからして明らかである。おそらくは、イメージや思考ではなく、実在する物であるという大前提が、ラーメンに芸術的な構図を持ち込むことを困難にしているのであろう。

 

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