東京駅一番街15周年記念 特別メニュー #5|東京駅 斑鳩:うにソースつけ麺 〆の海老のビスク・リゾットつき @東京ラーメンストリート[東京都千代田区]
うにソースつけ麺 〆の海老のビスク・リゾットつき
橙色のスープに期待感の膨らむつけ麺が着丼。
激旨のウニのポタージュ
ウニの風味がほのかに漂うスープは、ヴィシソワーズであるとのこと。となると、このスープはフレンチということになるわけで、ポタージュと呼ぶのが相応しいかもしれない。ともあれウニとヴィシソワーズの旨味が合わさって、まるで濃密な甲殻系味噌みたいな味わいとなって、怒濤のごとく味覚に押し寄せる。その圧巻の旨さに、まったくもって恐れ入った次第。ヴィシソワーズであるという点で、なんだか一本取られたような気分にもなった。
食感は良好だが、質感に難点のある麺
適度な茹で加減の中太麺は、弾力性が結構良好で、派生的なもっちり感もなかなかいい感じである。しかし一方で、夏に家で茹でた冷麦みたいな雰囲気もあって、やや質感が物足りない様子。
普通っぽさを醸し出すチャーシュー
鶏チャーシューはしっとりとした、とても柔らかい食感だが、あまり上品な感じではないためか、なんとなく普通っぽさを醸し出している。それゆえ、旨いことは旨いが、心にまで響いてくるような旨さではない。
〆のリゾットが決め技
つけ麺というと、スープ割りで〆るのが常套だが、このメニューの場合はリゾットで〆る。リゾットにはエビの風味がしっかりと付いている。これを残ったスープに投入して、ビスク・リゾット、つまりはお粥風にして味わうことになるのだが、ウニとエビの風味が融合して、まるで味の絶対領域に突入したかのような、ふくよかな旨味のトルネードに遭遇する。いわば、つけ麺からビスク・リゾットに移行することで、激旨の次元が一段上がるようなもので、つけ麺は前振りでビスク・リゾットこそがこのメニューの決め技と言っても過言ではないだろう。
総括
今回は、東京ラーメンストリートの斑鳩でフレンチの技法を援用したユニークなつけ麺を味わったのだが、とりわけリゾットを〆に使うところは、ラーメン界に新風を吹き込む可能性のみならず、つけ麺の進化の方向の1つをも示し、新局面の到来さえ予感させるに足るものであった。だがこういう最前衛のメニューを研究開発するだけに留まらず、さらに一歩進んで、自らが先頭に立って新たな潮流を作っていこうとするならば、その時こそ斑鳩は本物の超一流店としてラーメン界の頂点で輝くことができるのではなかろうか。ともあれ、これからの斑鳩に期待したい。