北海道ラーメン紀行 #15|麺屋 菜々兵衛:圧巻の淡麗系ラーメンに、ビブグルマンを超越する実力を見た![札幌市白石区]

名古屋コーチン 醤油・麺大盛・チャーシュー増し
名古屋コーチン 醤油・麺大盛・チャーシュー増し

ドカッと穂先メンマの束が載っているのが目を引くラーメンが着丼。

 

至高の淡麗スープ
醤油スープ

名古屋コーチンと煮干しのダブルスープで作られる醤油スープは、十分にパワーを抑制された体裁のあっさりした味ながら、背後の旨味の豊かさが抜群である。この深奥にふくよかな旨味を秘める味わいに、この店の自慢のネギ油が加わって、麺を存分に活かしきれる至高の淡麗スープに仕上がっている。

 

シコシコ感が非常に優れた細麺
細麺

適度な茹で加減の細麺は、いささかパツパツ感を伴いつつ、粋なシコシコ感が軽妙洒脱な風情でよく表れている。前面に出過ぎない支援型スープと絶妙な調和を成すこの麺の、ステップを踏むような軽やかな食感を堪能するとき、我々はラーメンという料理の極致の一局面を知ることになるのだと言っても、決して過言ではないだろう。

 

全体とのバランスが良好な具材
チャーシュー

北海道らしい素朴な雰囲気を醸すチャーシューは、とても柔らかくて、また淡白な味で、結構旨い。たっぷりと載った穂先メンマも、しなやかで柔らかくて、わりといい感じである。麺が主役となる構成のラーメンなので、これら具材はアピール度が控えめに調整されている感じだ。そうして全体のバランスが上手く保たれている。

 

参考
みそ・麺大盛・チャーシュー増し

2020年6月27日(土)に再び麺屋 菜々兵衛を訪れ、敢えて味噌ラーメンを味わってみたところ、名古屋コーチンの醤油ラーメンよりもかなり味が落ちる感じであった。札幌にある店だからといっても、この店で味噌ラーメンを選ぶのは、激旨ラーメンを味わうチャンスを逃すに等しいようだ。

 

総括
店内に置かれた展示物

今回は、北海道を代表する有名ラーメン店の1つの麺屋 菜々兵衛で、淡麗系の醤油ラーメンを味わったのだが、らぁ麺 飯田商店などの関東の淡麗系とは一線を画すような絶品に、淡麗系の範疇には他にも頂上があったことを教えられ、甚く感動させられたのだった。そこで思ったのは、このラーメンは本当にビブグルマンなのかということである。もしかしたら1つ星レベルなのではないかという疑問が、脳裏をよぎったわけだ。それで1つ星の定義を改めて確認してみると、近くに訪れたら行く価値のある優れた店となっている。この定義を見るだけでは、ビブグルマン店も一般的に近くに訪れたら行く価値があるし、優れてもいるので、ビブグルマン1つ星のどっちが上なのか判然とせず、ミシュランガイドも案外いい加減なものだと思えなくもないが、実際に1つ星に選ばれたラーメン店というのは、これまでのところ4店しか存在しない。すなわち東京にあるJapanese Soba Noodles 蔦創作麺工房 鳴龍SOBA HOUSE 金色不如帰、およびかつて香港にあった香港MISTである。香港MISTや、その本店でかつて表参道ヒルズにあったMISTの味を私は知らないけれども、MISTで料理長を務めていた人物が創作麺工房 鳴龍を創業したそうだ。ともあれ現存する1つ星の3店と比べてみた場合、私の個人的な意見としては、麺屋 菜々兵衛は同格であるような気がする。

 

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