ご当地ラーメン探訪|竹岡式ラーメン #2:竹岡式ラーメン二大元祖の一方の梅乃家の、常識外れな作りのラーメン[千葉県富津市]

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大ラーメン・やくみ(玉葱微塵切り)
大ラーメン・やくみ(玉葱微塵切り)

黒く佇むスープに玉葱の微塵切りの白さが殊に映え、印象的な色調のてんこ盛りラーメンが着丼。

 

スープは出汁不使用
醤油スープ

黒々とした醤油スープは見た目に強い醤油感が表れ、味にパンチがありそうな雰囲気だが、実際に味わってみると見事に肩透かしを食うことになる。というのも醤油感はさほどでもなく、さらにそれに留まらず、異様なほどあっさりした薄口なのだから。ズバリ言ってしまえば、簡素な味なのだ。普通はラーメンスープの味を言い表すのには適さない“簡素”という表現が、このスープの場合は違和感なく当てはまってしまう。これは、このスープの常識外れな作り方が関係していると思われる。世の中のほとんどのラーメンは出汁とタレを合わせてスープを作る。例外としては岐阜県の飛騨地方のご当地ラーメンの高山ラーメンや東京の超人気店中華そば 銀座八五などがあり、タレを使わない。出汁と調味料でスープを作る。それでもとても美味しいスープを作ることができる。ところが梅乃家の場合は、異例中の異例で出汁を使わないのだ。タレを湯で割るだけである。これではスープの味に深みをつけることは不可能で、ゆえにとても浅い味の簡素なスープが出来上がるわけである。

 

麺は乾麺
乾麺を使った細麺

若干柔らかめの茹で加減の細麺は、これまた異例中の異例で、乾麺を使用したもの。「家庭料理かい」ってツッコミたくなるところだが、怪我の功名とでも言うべきか、乾麺を使用したおかげで他店にはないややふわっとした感触の柔軟性がなかなかいい感じに表れている。結果的には独自性をしっかりと打ち出した麺となっており、結果オーライで良好な出来栄えである。

 

チャーシューは量の多さをアピール
チャーシュー

チャーシューは若干柔らかめで、しっかりと味付けされている。昔ながらのごく平凡な作りで、良くも悪くもない無難な出来。ただし、旨さは凡庸であっても、量の多さが際立っていて、チャーシューメンを注文したわけでもないのに、他店のチャーシューメン以上にチャーシューが載っていた。つまりは量でもってお得感をアピールしている。

 

総括
梅乃家

今回は、竹岡式ラーメンの二大元祖の一方の梅乃家で、房総半島の辺鄙な田舎に大行列を作るラーメンを味わったのだが、県外からも多くの客を引き寄せるほどの優れた集客力とは到底釣り合わないと思えるような、全然大したことのない旨さだった。しかし、ラーメン店の魅力は必ずしもラーメンの旨さに集約されるものではない。確かに梅乃家のラーメンは旨さのレベルが低めだが、全国的にわりと名の知れた竹岡式ラーメンのプロトタイプであり、ラーメンに関心を持っている人にとっては興味をそそられるところである。加えて、その常識外れな作り方に起因する異端な味わいも、却って希少価値を生み、ある意味で逆説的だが大きな魅力となっている。また一応コスパも良好である。結局、これらを引っ括めた梅乃家の総合的な魅力を想定するならば、大行列を作る集客力とも釣り合うのであろう。

 

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