北海道ラーメン紀行 #21|函館麺や 一文字 函館本店:現存の函館ラーメン店の中では唯一のミシュランガイド掲載店で味わうワンタンメン[北海道函館市]

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えび鶏塩わんたん麺
えび鶏塩わんたん麺

具材がちょっとゴチャゴチャと載っているものの、概してオーソドックスな見た目の函館ラーメンが着丼。

 

キレの弱さが意識される塩スープ
塩スープ

塩スープは田舎風の素朴なあっさりした味わいで、これはこれで決して悪くはないのだが、函館ラーメンの他の一流店と比べると、味のキレが弱いというか、味が最後まで伸びてこないというか、どこかもどかしい印象もまた残る。この辺りの凡庸さが、ミシュランガイド北海道2017特別版でミシュランプレートから外れる原因となったのかもしれない。

 

もっちり感がややいい具合に表れた細麺
細麺

適度な茹で加減の細麺は、もっちり感がややいい具合に表れていて、さらに柔軟性も若干顕示する仕様のようで、まあまあ良好な出来である。

 

香りと食感が粋なワンタン
海老と鶏のワンタン

海老と鶏の餡が入ったワンタンは、噛むと鶏肉の豊かな香りがふわっと口内に広がり、鼻へと抜けていく。と同時に、プリッとした海老の感触が現れる。味は淡白で控えめだが、香りと食感が乙な風情を醸し、とてもいい感じだ。

 

とろけるような柔らかさのチャーシュー
チャーシュー

炙りチャーシューは、とろけるような柔らかさがとても良い。味はワンタンともどもスープとのバランスを考慮してか、淡白である。

 

総括
店舗の看板

今回は、ミシュランガイド北海道2012特別版で調査員おすすめの店、すなわち現在言うところのミシュランプレートに選ばれた名店函館麺や 一文字 函館本店でワンタン入りの函館ラーメンを味わったのだが、ワンタンとチャーシューは満足がいくものの、スープの凡庸さが足を引っ張って、ミシュランプレートであるという前提では、いまいち冴えない印象を受ける塩ラーメンであった。このことについては店主の技量次第なので仕方のないことであるが、それより気になるのは過去に2度刊行されたミシュランガイド北海道が、閉業した星龍軒を除くとこの店しか函館ラーメンの店を掲載していないことだ。駅や観光スポットのそばに立地して観光都市函館が持つ集客力の恩恵に浴し、慢心しているような人気店とは一線を画し、交通の便が良くなくて観光客にはほぼスルーされてしまうけれども、味を精緻に極めていて地元客の人気が高く、並のビブグルマンラーメン店程度では到底太刀打ちできないレベルの絶品ラーメンを作るあの店を、ミシュランガイドは忘れているのではないか。あるいはミシュランの調査員もまた、訪れにくい場所だからといってスルーしたのだろうか。そんな風な邪推さえしてしまった2020年夏の函館旅行であった。

 

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