北海道ラーメン紀行 #22|龍鳳:函館駅近くの夜の街にある函館ラーメンの人気店 @大門横丁[北海道函館市]

最終更新日

チャーシューメン 塩
チャーシューメン 塩

上面を覆い尽くす2種類のチャーシューがなんとも食欲をそそる感じのラーメンが着丼。

 

滋味深いあっさり系スープ
塩スープ

塩スープはあっさりした味わいだが、あっさりの体裁の裏にそれなりのパワーを秘めていて、滋味深さが奥から滲んでくるような感覚がある。やや素朴な雰囲気を醸すものの、わりと秀逸な味わいに仕上がっている。

 

喉越しの良さが特徴の細麺
細麺

適度な茹で加減の細麺は、柔軟性をアピールする仕様。流麗とまでは言えないけれど、優しげな喉越しはなかなかの優れもの。あっさり味のスープとのコンビネーションは、淡麗系に近似した様態で、淡麗系の萌芽あるいは原初形態と見なしてもいいのかもしれない。

 

平凡だが、バランスが良好なチャーシュー
チャーシュー

2種類のチャーシューは平凡かつありふれた作りで、旨さは凡庸。食感は一方は柔らかく、もう一方はそこそこ歯応えがあり、互いに違えども、どちらも淡白な味なので、スープとの調和は上手く保たれている。

 

総括
店頭の掲示物

今回は、函館駅の近くの大門横丁という夜の街にある人気ラーメン店龍鳳を昼に訪れて、函館ラーメンを味わったのだが、ラーメンの出来自体はなかなか良好であった。ところが店内の様子が先に述べたように不衛生な感じだったので、幻滅させられること幾許か。せっかくの美味しい函館ラーメンも台無しといった印象であった。この店がこうした店舗運営を行っているのは、蓋し客層を一見さんの観光客に絞っているためであろう。地元の人が昼間にこの店の薄ら汚れた店内を見てしまえば、その人が再びこの店へ足を運ぶ可能性はほぼ皆無であるに違いないけれど、コロナ禍以前の状況では人口25万の函館で地元のリピーターを獲得できないデメリットなどは、函館駅近くの交通至便な好立地に店を出し、年間500万人くらいやって来る観光客の大きな需要をもろに享受できる環境下ではちっとも気にならなかったと推測できる。しかしコロナ禍によって事情は激変してしまった。Go To トラベルなどの政策で国内からの観光客は多少見込めるとはいっても、海外からの観光客が途絶し、函館ではもはや観光客に全面的に依存した飲食店経営は成り立たなくなっているようにも見受けられる。衛生という飲食店にとっての存立の根本を軽んじ、お客様に再び来店してもらえるよう努めるという飲食店経営の基本中の基本を疎かにして、昼間に訪れる一部の客を平然と幻滅させてきたと思われるような、おそらくは意識低い系のラーメン店が、このコロナ禍の厳しい苦境を乗り切ることができるのか、注目したいところだ。

 

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