北海道ラーメン紀行 #35|蜂屋 五条創業店:旭川ラーメンの最古参! 旭川ラーメン隆盛の礎を築いたビブグルマン店[北海道旭川市]
しょうゆチャーシュー・大盛り
蜂屋のトレードマークである焦がしラードの浮いた醤油ラーメンが着丼。
変化に富んだ味わいの絶品スープ
アジの煮干しと豚骨のWスープを使用した醤油スープは、見た目は時代遅れな旧式のスープっぽい。ところが実際に味わってみると、Wスープと焦がしラードの相乗効果で変化に富んだ味わいが形成され、思わず膝を打ってしまいそうな優れ物である。ふくよかな旨味を含む柔和な面相が基本だが、焦がしラードによる鋭敏な味も内包していて、そこから抑揚とアクセントが生まれ、全然旧式という表現に当てはまる感じではない絶妙な味わいに仕上がっている。まさしくビブグルマン級のスープだ。
食感が素晴らしい低加水麺
適度な茹で加減の低加水の細麺は、もっちり感と弾力感が融合したような感覚がかなり秀逸で、まさに激旨。旭川の地元の製麺会社は、旭川のラーメン業界の宝物であるようだと印象付けられた。
スープの掴みが良好なチャーシュー
チャーシューは昔ながらの至極平凡な作りだが、とても薄くスライスして、量に比して表面積を大きくしている。これはもちろんチャーシューの量をケチっているのではなく、チャーシューへのスープの絡みを良くするための工夫と考えられる。味付けも薄くしてあって、絶品スープの力を援用する仕様のようだ。スープが主役で、スープに自信があるからこそ、麺もチャーシューもスープの力で食わせようという発想が出てくるわけで、なるほどと合点のいくチャーシューである。
総括
今回は、旭川ラーメンを代表すると言ってもあながち過言ではない名店蜂屋のビブグルマンに格付けされた五条創業店で、主力メニューの醤油ラーメンを味わったのだが、さすがと言う他ない完成度に存分に納得させられることとなった。そのスープは言わずもがな、地元の製麺会社から仕入れる麺も素晴らしい出来で、たしかに旭川中どこもかしこも似たような麺ばかりになる画一化の弊もあるものの、それを補って余りある上出来に、製麺会社がご当地ラーメンの魅力を押し上げる実例を見た次第。