緊急速報 #3|新型コロナで原宿がヤバイ:2020年4月12日(日)、ワンコイン家系ラーメンを食べに原宿に行ってきた @せい家 原宿店

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らーめん
らーめん

税抜500円、税込550円の戦略的価格のラーメンが着丼。

 

元祖の吉村家に近似したスープ
豚骨醤油スープ

家系ラーメンチェーンといえば、町田商店などを運営し、またプロデュース店も数多く抱える東証マザーズ上場企業のギフトが第一に想起されるが、ギフトの甚だしく元祖の吉村家から乖離したスープとは異なり、せい家のスープは元祖と傾向が同じの正統派系の味わいである。醤油感が強めで、苦味と塩分を効かしたクセのある味わいは、ギフト等のスープを工場製スープとか、缶詰スープとかと揶揄する正統派家系愛好者をも、黙らせることができるかもしれない。スープだけを取り上げるならば、吉村家やその直系店にもう一歩で肉薄できるほどであるとさえ言えそうな、なかなか大したチェーン店である。

 

酒井製麺に遠く及ばない麺
中太麺

吉村家やその関連店の多くは、東京都大田区の酒井製麺の秀逸な中太麺を使用しているが、酒井製麺はどこにでも麺を卸すわけではない。それで、せい家の場合は川崎市幸区の大橋製麺所から麺を仕入れているという不確かな情報もある。ともあれ酒井製麺の麺でないことは確かである。せい家の中太麺は、見た目は酒井製麺の麺と似ているものの、食感は到底それに及ばない。しなやかさが不足しているためか、噛み切った後にコロコロとする微妙な嫌みが生じるようでもある。もちろんチェーン店レベルなら、これくらいの麺でも合格点だろうが、正統派家系のハイレベルな麺を食べ慣れている人には、これでは納得してもらえないだろう。

 

それなりにいい感じのチャーシュー
チャーシュー

吉村家と同じく淡白な味のチャーシューは、吉村家と違って燻製していない。やや歯応えが良くて、それなりに良好な出来ではあるけれども、吉村家のスモークの風味が乙な柔らかめのチャーシューより、やはり明らかに劣るだろう。

 

総括
メニューの食品サンプル

2018年の終わり頃から2019年の初めにかけて、実はギフトせい家を買収しようとしたことがあった。結局それは失敗に終わったのだが、私はそれで良かったのではないかと思っている。ギフトの創業者でラーメン界の風雲児ともいえる田川翔氏は壱六家で修業した人物だから、壱六家流の正統派家系に近似したスープの作り方は百も承知。それを敢えて捨てたところから、ギフトの躍進が始まった。なのに今さら己が捨てたものを固持し、己の逆を行く存在に、何を求めるというのだろう。ギフトにはギフトの道がある。それは始祖の吉村実氏が築いた道から大きく方向を変えて分岐した、新しい家系ラーメンの道だ。ラーメンの一愛好家として私が期待するのは、ギフトには迷わずに自らの道を突き進み、そしてチェーン店という制約の下で極め尽くしたラーメンを作り上げ、いつかラーメン史の1ページに大きな足跡を記して欲しいということだ。他方、せい家にも自らの道がある。まだギフトほど明瞭に開かれていない茨の道だが、切り開いていくことは可能だろう。その際、いつかワンコイン家系ラーメンの類の価格訴求力に固執するか否かの選択に迫られるのではないだろうか。価格訴求力に代わる手札が揃っていれば、せい家はきっと飛躍できるだろう。しかし価格訴求力に固執せざるをえないならば、せい家はそこまでで、先には進めないと私は思う。

 

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