外食ニュース 2020.09.04|新潟名物『バスセンターのカレー』の店が一時的に移転し、臨時営業中[新潟市中央区]【名物 万代そば】

最終更新日

大盛カレーライス
大盛カレーライス

560円にしては分量が結構多いカレーライスが出てきた。価格対分量比に優れる料理は、ラーメン二郎などを見ても分かるように、男性客に対する訴求力にアクセルが入ることが多いようだが、周囲を見渡す限りでは、このバスセンターのカレーもそういう面があるのだろうと推測できた。

 

古き良き時代のカレー
昭和スタイルのカレー

これを真っ黄色と言うと語弊があるかもしれないけれど、そう言いたくなりそうな昔風の色合いである。ふと昔の給食のカレーに似ているのではないかと思ったのだが、案の定、味の方も私が小学生だった昭和50年代の給食みたいな甘口のカレーで、さほど旨くはなかった。しかし食べ始めてみれば、遠い昔、給食のカレーを旨いと感じることのできた頃の味覚が甦ったかのごとく、別段空腹でもなかったのに、がっついてぺろりと大量のカレーを平らげてしまい、しかもなんだか妙に満足している始末。そしてそんな自分が不思議でならなかった。だが改めて考えてみれば、心の奥に埋もれた琴線に触れることのできるノスタルジーの力にこそ思い及ぶべきだろう。昔懐かしい情緒に溢れる味を前にして、旨い・不味いの次元を超越し、ついつい感傷に浸ってしまう。多かれ少なかれ、そうしたノスタルジーに、このカレーの魅力の核心が依っていることは、想像に難くない。

 

総括
臨時営業の案内表示

今回は、ノスタルジックな雰囲気を醸し、かつ割安であるという2つの魅力を武器にして、新潟名物と呼ばれるほどまでに人気を博すに至ったバスセンターのカレーを味わったわけだが、外食産業にとって最も重要な指標である旨さだけを鑑みれば、このカレーライスは淘汰されてしまっても仕方がないレベルにあるだろう。にもかかわらず、盤石の人気に支えられて、淘汰などとは無縁と思える状況を見るにつけ、外食産業の奥の深さ、そしてそれゆえにこその面白さに気付かされる次第である。

 

1 2

シェアする