Japanese Soba Noodles 蔦|ミシュランガイドで4年連続1つ星たるゆえんは、そのスープにあり!? @巣鴨[東京都豊島区]

最終更新日

優雅な佇まいの秀麗な醤油ラーメン
チャーシュー味玉醤油Soba

整理券を受け取ってから2時間半余りが経ち、ようやくにして待望の一杯が着丼。繊細な美的感覚が投影された印象の、まさに1つ星のオーラを醸すラーメンである。

 

魔術的な旨さの凄すぎるスープ
醤油スープ

丸鶏と香味野菜、アサリと昆布、鰹本枯節と鯖本枯節、以上3種の出汁を別々に取ってブレンドしたトリプルスープに、醤油・ムール貝・牛肉・ポルチーニ茸等で作ったカエシを合わせ、さらにトリュフオイルとトリュフクリームを加えてあるという醤油スープは、驚異の完成度を誇る。このスープを口に含んだ刹那、トリュフ由来のなんとも芳醇な香りが口内から鼻腔へと駆け抜けていく。続いて、トリュフの妙なる旨味の踊る、豊かで深い味わいが押し寄せ、味覚を幻惑する。それはまるで、たちまちにして味わう者を旨さの虜にしてしまう魔術のようだ。まさしくスープの奇跡が、そこにある。

 

無難な作りの細ストレート麺
細ストレート麺

程良い硬さの自家製の細ストレート麺は、強いて特徴を挙げるならシコシコ感がいい感じであるが、全般的にはオーソドックスで無難な作りで、抜群のアピール度のスープと比較すると、断然アピール度が低い感じである。だが激旨スープの絡みが良いため、食べた実感としてはとても旨い。ちなみに実はちょうどこの日、すなわち2019年6月10日よりフランス産石臼挽き有機小麦を配合した麺に変わったそうである。

 

上質な味わいのチャーシュー
チャーシュー

薄くスライスされた豚チャーシューは、とても柔らかくて、また品位が備わった上質の味わいだが、超一流店の水準で見れば、これくらいは作って当然という感じがしないでもない。たしかに秀逸ではあるものの、スープのようなズバ抜けた旨さを実現しているわけではない。

 

旨いけれども驚きのない丼物
ロース飯

サイドメニューのロース飯は、ラーメンの具と同等のチャーシューが載った丼物である。このチャーシューはラーメンには合うのだが、ご飯との相性はちょっとどうかなという感がなきにしもあらずな様相で、上質な味わいでそれなりに旨いけれども、若干パッとしない所感もまた付きまとう。加えてインパクトが低調で、特段の驚きがなく、所詮はサイドメニューだなという心証の残る出来である。

 

総括
暖簾

今回はミシュランガイドで4年連続1つ星店の看板メニューのラーメンを味わってみて、物凄い旨さに感服させられたわけだが、それはひとえにスープの見事さに依拠し、まさにスープが命の一杯であった。逆に言えば、スープ以外はそれなりにハイレベルではあるものの、さほどでもない印象もまたいささかあり、ゆえにスープとのギャップによってある意味、拍子抜けさせられる面もないとは言えなかった。だがしかし、この店の店主、ラーメン界の鬼才大西祐貴氏は、改良への取り組みに熱心で進歩志向の人物のようなので、いずれは全てを極めたラーメンを完成させてくれると期待する次第である。

 

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