ビブグルマン巡り|東京2020・ラーメン #1:6年連続ビブグルマンの実力派、ラーメン屋 トイ・ボックス @三ノ輪[東京都荒川区]

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特製醤油ラーメン
特製醤油ラーメン

見るからに上品な雰囲気を醸し、とても見栄えのする一杯が着丼。

 

柔軟性が際立つ細麺
細麺

程良い硬さの細麺は、柔軟性を強調した仕様で、スープの絡みも良好。全般的にオーソドックスな作りなのだが、オーソドックスながらもシコシコ感が若干顕在する傾向にある。柔軟性にシコシコ感を少々合わせた流麗な食感は、喉越しの優しさを生み、それがこの麺、ひいてはこのラーメンの最たる長所となっているようだ。

 

淡麗系スープの極意
醤油スープ

この淡麗系のスープはあっさり味で控えめな体裁ではあるが、後味にまで余韻の続く底力を秘めている。これが流麗な細麺に出会ったとき、完璧なコンビネーションを成して麺を活かし、麺の旨さをいや増しに高める。こういう構成は、この店と同じく6年連続ビブグルマンのらぁ麺やまぐちや、天下の名店らぁ麺 飯田商店も採用しており、淡麗系ラーメンの一種の王道パターンとも言えるだろう。それでは、このスープはさぞかし工夫に工夫を重ね、様々な食材を組み合わせて作るのだろうと想像してしまいそうだが、実はミシュランガイドによると、このスープは地鶏と水だけで出汁を取るとのこと。醤油は8種類も使っているとはいえ、このあまりに純粋な出汁で事足りるとするのみならず、これで至上のスープを作れるのだとする料理理論を前にすると、出汁というもののいかに在るべきかについて、私ども素人には一考が促されそうだ。

 

チャーシュー
チャーシュー

チャーシューは豚と鶏の2種類。豚は薄味で、鶏は淡白な味わいである。ともに格調高く、上質感が半端ないのだが、とりわけ鶏チャーシューの出来が素晴らしい。

 

総括
店名を表示するプレート

今回は淡麗系ラーメンの絶品を堪能したのだが、優しげな喉越しが自慢の流麗な細麺、穏やかであっさりした味わいのスープ、淡白で薄味の具、この三者の絶妙なバランスの上にこそ、究極のラーメンが成立するのを見ることができた。ここに下手にパンチを効かせてみたり、面白みを付与したりしようものなら、たちまちバランスを崩して、二流ラーメンにしかならないだろう。その意味で、淡麗系ラーメンの達人たちが、微妙で危ういバランスを制し、言わば押し過ぎず、引き過ぎずの妙を心得て見事なラーメンを作り上げていることに、改めて崇敬の念を抱いた次第である。

 

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